Toke藩トップへ メインページ
Toke藩トップToke藩メインページ>kent.jpのストバス生活




僕(kent.jp)が土気に出来たストリート・バスケコートの存在を知ったのは今年(2006年)の4月になってからだったと思う。
この頃僕は資格試験の勉強で、ほとんど外出せず家にずっと居て、所謂「引き篭もり」の状態だった。

大学を卒業してから勉強ばかりで就活もしない自分が最近流行の「NEET」と重なり、ちょっと憂鬱な日々だったね。
家でやる事といえば、勉強とネットくらいで、外部の情報はほぼ全てネットに頼っていた。
今になって思うのは、当時の僕は他人との関わりが無かったということ。
将来に対する不安を1人で抱え、毎日を悶々として過ごしていたよ。


土気の新しいバスケコートを見つけたのは、たまたまだった。
必要に迫られて久々に買い物に行った時、偶然バスケコートが目に入ったのだ。
今まで一度も利用したことの無い公園の中に、綺麗な白いバスケットボードとゴールネットが見えた。
僕は中学までバスケをしていたこともあって、にわかにこの新しいストバスコートに興味が湧いた。

翌朝、僕はストバスコートへ車を走らせていた。
平日の昼間から仕事もしないでブラブラしてる姿なんて誰にも見せたくなかった。
だから僕は出来るだけ早朝にバスケコートへ行った。




初めてこの新しいバスケゴールと対面して、何か懐かしい気分がしたのを覚えている。
早朝の静けさと、草の匂い、最近すっかり失っていた感覚が少しずつ体に蘇ってくるような、そんな感覚だった。
たった一人、自分だけのコート、この日から僕は毎朝1時間、一人でバスケをするようになった。

草と木と、空と風と、土気にはこんなにも素晴らしい環境があったとは。
しかし、改めて土気の素晴らしさを実感すると同時に、この清く澄んだコートの周りに点在するゴミが 妙に目に入ってしょうがない…。
僕は近くに落ちているコンビニ袋を拾って、その中にゴミを集めた。

ゴミ一つ無い環境でスポーツができるとは…、なんと清々しいことだろう。

自分の善行に酔っていたのかも知れないが、僕には早朝の運動とゴミ拾いがとても気持ち良かった。
勝手だが、「自分のコート」という意識が少しあったのだと思う。

1ヶ月間、毎朝バスケとゴミ拾いを続けているうちに、何度か中学生やら中年の男性やらと遭遇することもあった。
その中で、ある中学生は僕がゴミ拾いをしてるのを見かけて、無言でゴミを拾い始めてくれた。
「あぁ、こうして地域にゴミ拾いの習慣が広がっていったらなぁ。」
そんなコトを思ったりしていたよ。今からすれば完全に酔っていたね。
でも、このバスケコートを発見してから、僕の生活の濁りが大幅に取り除かれたのは確かだね。




*****************************************************************************

僕はこのバスケコートの朝の顔しか知らなかった。

2ヶ月間の運動で僕はだいぶ体が動くようになっていて、少しバスケに自信も出てきていた。
そんな時、夕方のバスケコートでプレイする人達を初めて見た。確か週末だったと思う。
例外もあったが、それまでほぼ一人でバスケットをしていた自分にとって、集団でバスケをする連中が新鮮に見えた。

興味だけを支えに、僕はコートの脇へと行った。とても輪に入る勇気はなかった。




しばらく見ていると、連中の一人が僕のところへやって来て話しかけてきた。
彼の話を聞いて分かったのだが、彼らは別に友達同士でバスケをしに来たのではなく、
たまたまコートに居合わせた人同士でバスケをやっていたらしい。
だいたい夕方になるとコートに集まってくるらしい。なるほど。よく見ると年齢層がバラバラだった。

「なんだ、みんな自分と同じ様なものか。」

そう思った私は、ようやく「連中」の一人となり、一緒にバスケをやるようになった。
それから、早朝にやっていたバスケは夕方へと時間を移した。


*****************************************************************************

今まで朝のバスケコートを一人で独占し、 バスケコートをまるで自分の所有物の様に思っていた私は、
そのコートが中学生や高校生、中高年の人など、多くの人達に使われていたことを知り、少し嫉妬に似た思いを抱いた。
しかし何日か行くうちに、夕方よくバスケに来る一人が、コートの回りのゴミを拾っている姿を私は目にした。
このコートを自分の物の様に大切に使っている人が自分の他にもいることを、この時初めて知ったのである。



私の嫉妬心は急激に薄れ、嬉しくなった。

それからというもの私はこの人から色々な話を聞き
今まで使っていたコートは実は署名活動によって設置されたということや
皆が自由にスポーツを楽しめる空間が自分達の街にあるコトの価値について話し合った。

そして私はこのコートは市民全ての共有物であると同時に、コートを使う人、一人一人の物でもあり
このコートを使う全員が、それぞれ責任を持って管理すべきと理解したのである。

(ゴミをポイ捨てした経験のある人も、これからは公園をキレイに使おうぜ!)

*****************************************************************************


このコートでストリートバスケの大会を開こうという話しが持ち上がったのは八月の中頃である。




土気では毎年八月の末に地域の大きな夏祭りがある。
私達はこの日に合わせて第1回土気流ストバス大会を開こうと企画したのである。
地域の皆で楽しめる大会にするためにどうするか、普段の夕方バスケメンバーで真剣に話し合った。

広告は勿論、当日誰でも参加できるように、飛び入り参加OKにし、
男女や年齢に関係なく公平に楽しめるためのルール作りや、
怪我や熱射病に対応するためにドリンクや救護班も準備した。


*****************************************************************************

発案から開催まで僅か10日しかなかったが、協力の賜物か当日は17チーム、70名を越える大盛況だった。







これほど緊密に連絡を取り合い、話し合って企画したのは自分にとって久しぶりだった。
しかも結果は大成功。心の底から充実感を味わった。


*****************************************************************************

しかし、これで終わらせないのがバスケコートのチカラなのか。
僕らはバスケコートが出来たことによって、何か大きく成長させられたのかも知れない。

バスケ大会から2週間と隔てないで、流し素麺を実施しようという企画が持ち上がった。
バスケはもともと米国のスポーツであるけれど、その米風のコートで日本の粋を味わおうということらしい。





土気周辺に住む外国人なども呼び、日本文化を紹介しつつ、中学生達にも国際交流を経験してもらったり。



夏の風物詩、スイカ割りも体験してもらった。


もちろん、後の掃除も全員参加で。




ついでにコートの周りの荒地(?)に芝の種を蒔きました。
せっかくのバスケコート、自分達の手で少しでも環境を整えたいしね。



*****************************************************************************

こうなってくると、ここは単なるバスケコートという気がしないよ。

少なくとも自分にとってはね。
このコートが一つ出来ただけで、生活が一変したんだ。

スポーツだけでなく、文化的なことにも目が行くようになったし。
このコートはバスケの為だけにあるんじゃないという事も知った。
茶会も開いたり、なんていうのか、幅の広い経験を得られるようになった。



このコートが出来たことで意識が外へ向き、抱えていた悩みはどこかへ消えてしまった。
や、もっと正確に言えば、積極的・前向きに行動する姿勢を学んだことで、どんな障害をも乗り越えていける
乗り越えて見せる、そんな勇気が芽生えたのかも知れない。

あの日、このコートに初めて立ったとき
それまで固まっていた時間が、少しずつ融け始めたのかも知れない。


現在いまの自分に力を与えてくれる。
過去の自分を、未来の自分へと繋げてくれる。
そんな素晴らしいコートが、僕にはある。
だから、僕は前へいける。






kent.jp













inserted by FC2 system